CPUとCPUクーラーの間に塗りつけられて密着されたら最後、よっぽどのことが無い限り日の目を見ることはないシリコングリス。
でも見えないところで頑張っているんです。
CPUが高温になりすぎるとパソコンはトラブルに見舞われます。勝手に電源が落ちる、再起動を繰り返す、動作が不安定・・・。そんなことにならないように、シリコングリスはCPUの発熱を効率よくCPUクーラーに伝えています。
とはいっても、シリコングリスそのものが非常に熱伝導率が高いというわけではありません。例えばヒートシンクでよく使われている素材であるアルミの熱伝導率は236、銅だと403ですが、シリコングリスは高性能タイプで9程度、安いタイプは1以下です。ではなぜシリコングリスが必要なのでしょうか??
答えは空気の層を防ぐためです。
CPUとCPUクーラーは金属同士くっつくのが一番ですが、顕微鏡レベルで見るとぴったりというわけにはいかず、いわば点で触れている状態です。この点の間に入り込む空気が熱伝導の大きな障害となります。空気の熱伝導率はわずか0.02、桁違いに低いのです。シリコングリスは空気の代わりにこの隙間に入り込んで熱伝導率を上げているというわけです。
この小さな隙間を埋めるだけですから、グリスはできるだけ薄く塗るのが基本です。あまり厚く塗って、本来金属同士が触れあう場所が少なくなると逆効果になるからです。
このシリコングリス、熱伝導率を上げるために、純度99.9%の超微粒子純銀が配合されたタイプもあります。最近見かけませんが、熱伝導率の王様ダイヤを使った贅沢なものもありました。
さらにそれらを10倍上回ると言われる液体金属タイプもあります。
塗り方にしても、真ん中にちょんと付けて押しつぶす人もいれば、きれいに薄く広げてから密着させる人、指で塗り広げる人・・・様々です。
もちろん指を使うと皮脂が入り込む心配があるのでおすすめできませんし、液体金属タイプはアルミを浸食するので、CPUクーラーの素材にも注意する必要がありますが、それ以外のことは割と適当でもどうにかなるものだったりします。WEBなどでもみんないろいろな塗り方を公開しています。
グリスの種類や塗り方を工夫して、CPUの温度を測って、「○度下がったー」なんて楽しみ方もあるわけです。
毎日のように修理でCPUクーラーを取り外しているわけですが、げげっ!というような塗り方がされていたり、ささやかながらプロの業を見ることもあります。
特に自作系のパソコンですと、塗り方一つで制作者の力量がうかがえることもあるんですよ。えっ話がマニアックすぎた?
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