タイでは洪水で7月以降数百人単位での犠牲者が出ていますが、大雨がさらに続き、その被害は今月に入りバンコク北部の工業地帯にまで広がっているようです。
カメラの部品、自動車パーツや車体の製造ラインのための工場も水につかっている映像がテレビでは流れており、被害が拡大するに連れて日本企業の生産能力への影響が懸念されています。
これらも気になりますが、パソコンパーツの主要部品であるハードディスクの生産工場への影響も少なくないようです。
タイ洪水でHDD不足、米アップルなど年内にも影響波及か
– ロイター通信(2011年 10月 22日)ハードディスクドライブ(HDD)の出荷不足により、早ければ12月にも、米アップル(AAPL.O:株価,企業情報,レポート)など大手コンピューターメーカーに影響が波及する恐れが出てきた。
タイは世界第2位のHDD生産拠点だが、アナリストらや業界関係者の間では、洪水被害を受けた工場は数カ月の操業停止を余儀なくされるとの見方が広がっている。
HDD大手の米ウェスタン・デジタル(WDC.N:株価,企業情報,レポート)と米シーゲイト(STX.O:株価,企業情報,レポート)は、ともにタイ国内に生産拠点を構えている。洪水の影響でウェスタン・デジタルの工場は操業を停止、シーゲイトは生産を維持しているものの、部品不足に直面する恐れがあるとしている。
インテルは18日の第3・四半期決算発表会で、タイの洪水は第4・四半期のPC市場には影響を与えないとの見方を示していた。しかし、その後にウェスタン・デジタルのタイ工場の被害状況が明らかになるに従い、一部アナリストの間では、HDDの供給不足が12月にもPC生産の障害になり始めるとの見方が台頭してきた。ウェスタン・デジタルは、HDD生産の60%をタイに依存。顧客の手元にある在庫は約2週間分で、販売代理店など流通段階で4週間分の供給は確保されているという。
ハードディスクはほとんどが東南アジアで生産されており、タイは世界第二位のハードディスク生産拠点。出荷台数の6割を頼るウェスタン・デジタル(WD)だけでなく他の4大大手も工場をおいています。
日立を含めた大手HDDメーカーがタイに集中する理由は?
–newsclip.be?投資委員会(BOI)に見られる政府の積極的な奨励が功を奏したということでしょう。豊かな労働力、技術の高さ、整備されたインフラなどにより、タイは世界最大のHDD製造拠点の地位を築きました。HDDは今や、タイでトップクラスの輸出産品です。2008年のHDD市場は年12%の伸び、中でも2.5型はノートブックの普及に後押しされ年28%の伸びを予想しています。
弊社では主に、2.5型と3.5型を製造しています。2.5型はノートブック、3.5型はデスクトップといったPCへの搭載で知られていますが、弊社製品はPCほか、カーナビやカーオーディオなどの車載機器や、DVDレコーダーなどのAV機器にも搭載されます。
日立などは、1997年から工場をおいているとのこと。シーゲートは影響が軽微だったため生産可能としていますが、他のメーカーも含め復旧までは最短でも数ヶ月の見通しを持っています。
パーツとして売られているハードディスクも、すでに価格変動が始まっています。店舗によっては1,000円前後も価格が上昇。年末商戦のためのPC生産ラインやモデルにも影響が出ているとか。
通常メーカーは4〜6週分ほどの在庫を持っており、大手メーカーの生産ベースに合わせコントロールされていますが、2011年末から2012年春の時期はPC業界の価格変動は大きいかもしれません。