iPhoneのフィルタリングが不十分だとして総務省が調査を行っているようです。おそらくソフトバンクとAppleに対して改善要求を行うと予想されます。
しかしながらこの問題は根が深く複雑です。
現在の有害サイト規制法では、18歳未満の子どもの携帯利用に際して、保護者がNOと言わなければフィルタリングをかけた状態で販売することが義務づけられています。
しかしiPhoneの場合は、利用者が自分でフィルタリングの設定を行わなければなりません。ソフトバンクの言い分は、回線への接続経路が日本の携帯電話と違うため端末側でソフト的にフィルタをかけることにした、その手順書も準備した、というものです。しかしながら、作業が面倒なために設定を行っていないケースが多く観察されており、そこが問題視されているようです。
iPhoneには何らかの改善が必要なのかもしれませんが、大前提として、ネットの脅威から子ども達を守るためには親が注意深くなければなりません。
内閣府が4月に公表した調査では、フィルタリング利用率は小学生62%、中学生55%、高校生39%となっています。それ以外は親がフィルタリング不要を認めたということになります。もちろん、携帯電話販売店側の説明不足というケースも多々あるでしょう。(この面では警察庁が指導を徹底する向きもあります。)しかし親に全く責任がないとはいえません。
児童が巻き込まれたネット絡みの被害を調査したところ、アクセス手段は携帯電話が98%ほどを占め、そのうちフィルタリングを施していたケースは2%にも満たなかったようです。無頓着ではいられない数字が報告されています。
しかしながら、フィルタリングを施したら安心というわけでもありません。
例えばこれまでは出会い系サイトの危険性が度々強調されてきました。現在でもそれは変わりません。しかし最近は非出会い系サイトに起因する犯罪が増加しています。
SNSを主とするコミュニティサイトなどがそれにあたります。
これらはEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)認定となっているものが多く、フィルタリングの対象から外れます。つまりフィルタリングを施した携帯電話でも、該当サイトにアクセスできるということです。
さらに無線LAN対応機器であれば、そもそも携帯回線の制限にかかりません。フィルタリング対象となっているサイトでさえ、見ることは可能なのです。(技術力があればほとんど可能だとお考えになった方がよろしいかと思います。)
ネットの正しい使い方と倫理的な事柄を子どもに教えることを基本とし、その上で抑止力としてフィルタリング等を検討する必要があります。
お子さんの方がITスキルが高いということが多々あるかと思いますが、親の皆さんが関心を払うことで行えることはたくさんあります。