データ復旧視点のRAIDレベルの話

Categories: ITtimes, トラブル解決, トリビア, 使えるIT  2010/12/16 木曜日

データ復旧の案件を見てみますと、最近ではNASの割合が非常に多くなっています。

メーカーや機種にもよりますが、データ復旧で持ち込まれるNASの多くはRAID5に設定されていることが多いと感じています。デフォルト設定のままお使いになっておられるのかもしれません。

トラブルを防ぐためにRAIDレベルの特徴だけでもご理解の上運用されることをお勧めします。

おさえておきたいレベルはRAID0、RAID1、RAID5辺りでしょうか。

RAID0は簡単に言いますと、複数のディスクに対して読み書きの処理を同時並行することで、アクセス速度を高速化する技術です。

例えば、ハードディスク1台稼働からハードディスク2台のRAID0へ移行すると、速度が2倍、容量が2倍になります。(厳密な事は省きます。概念だと考えてください。)

しかしデメリットがあります。2台のうち1台でも故障すると全滅します。つまり故障リスクは2倍になります。

一方RAID1は考え方が全く異なっています。こちらは耐障害性を最優先にしています。

RAID1は別名「ミラーリング」ともよばれ、仕組み的には常にコピーを取る方法です。

ですから、ハードディスク1台稼働からハードディスク2台のRAID1に移行しても、速度も容量も変わりません。(むしろ遅くなります。) しかし常にコピーしていますので耐障害性は2倍にアップしたことになります。効率は良くありませんが、耐障害性を考える上で基本となる形です。

最後に取り上げますRAID5は、高速化、大容量化、耐障害性すべてを実現しています。

具体的には、RAID0と同じ原理で高速化・大容量化を果たしつつ、ディスクの故障時に記録データを修復するための「パリティ」と呼ばれる冗長コードをディスクに書き込んでいます。どれか1台のハードディスクが故障しても、正常稼働の他のハードディスクのデータ+パリティから元のデータを復元できます。

とてもすばらしい技術なのですが、同時に2台以上のハードディスクが壊れると回復不可となります。しかし同時に複数のハードディスクが故障する可能性は低く、一方で得られる効果は大きいのでRAID5がデフォルト設定となっている機種が増えています。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

いいことづくめのRAID5ですが、落とし穴があります。それは2台目のハードディスクが故障するまで不具合に気づかない事が多いということです。

実際にデータ復旧を行ったNASやサーバ機の多くに、随分前に1台目のハードディスクで不具合が発生していた形跡がありました。障害発生時の警告ランプ等の見落としもありますが、警告自体が出ていなかったというケースもあります。

RAID5で安全に運用するためには、1台目のハードディスクトラブル時をすぐに検知できることが大前提となります。機能だけに頼るのではなく、定期的に自分の目で確かめることも大切です。

RAIDにはたくさんのレベルがありますし、拡張規格のRAID6も注目されていますが、データ復旧視点で見ると、結局はRAID1が一番いいのかなと思ってしまいます。

※もちろんバックアップ体制がしっかりしていれば話は変わってきます。


Author: Jun
アイティーアシスト代表 ワクワクするようなIT活用をご提案します。

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