CDが登場した頃はその容量は十分なものでした。一説では、ベートーベンの交響曲第九番が収録できるように650MB(音楽データで74分)が決められたといわれています。
当時はまだフロッピーディスクも現役でしたので、フロッピーディスク500枚分のデータがCD-ROM1枚に収まるというのは画期的でした。
しかし映像をデジタル化する時代になるとこの容量では足りなくなってきました。そこで登場したのがDVDです。CDと同じサイズなのに容量は4.7GBもあり、CDと比較して約7倍の容量アップを果たしていました。
この容量アップは、トラックピッチ(データの記録幅)を小さくすることにより実現されています。CDの時1.6μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)だったトラックピッチは、DVDでは0.74μmまで小さくなりました。
恐ろしく緻密な世界です。わかりやすい縮尺があります。12cmのディスクを1000倍して考えると、ちょうど甲子園球場ほどの大きさになりますが、この縮尺でもDVDのトラックピッチは0.74mm幅にしかなりません。甲子園球場で1ミリにも満たない小さな砂つぶを、あちこちに置いたり、探したりというレベルの作業がDVD上で行われているというわけです。
小さくするだけでなく、透過型の記録面を重ねて、それぞれの層にレーザーを照射する技術を採用した2層タイプのDVDも登場しました。これは8.5GBの容量があり、市販のDVD映画で採用されています。
DVDはまさに技術の結晶でした。
これ以上は無理!そんなレベルまで到達していたDVDですが、青色レーザーの登場によりさらに次世代の製品が開発されていきます。それがブルーレイディスクです。
その話はまた次回。
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