Apple社設立時の契約書が、オークションで135万ドル（諸費用込みだと160万ドル）で落札されました。
この文書には、1976年4月12日付でスティーブ・ジョブズ氏、スティーブ・ウォズニアック氏、ロナルド・ウェイン氏のサインが並んでいます。
最初の二人は有名ですが、三人目のウェイン氏は幻の創業者と呼ばれています。ちなみにApple初期のロゴは彼の作品です。
ウェイン氏は過去のインタビューでこう語っています。
「ジョブズとウォズニアックとの間にちょっとした意見の違いがあって、たまたま私がそこにいたんです。そこで一緒に会話したら、その問題が解決されたんです。」
そのことに感銘を受けたジョブズ氏は、年長のウェイン氏を共同創業者に迎えることを願いました。
Apple社の株式はジョブズ氏、ウォズニアック氏が45%ずつ保有し、残りの10%をウェイン氏が保有することになります。つまり、若い二人が衝突した時に、ウェイン氏が決定権を持つこととなり、会社は大人の決定を下すことができるというわけです。
しかし残念ながらウェイン氏は早々とApple社を離れることになります。
ウェイン氏はApple社の配当権を放棄して2300ドル得たといわれていますが、仮に今でもその株式を持ち続けていれば400億ドル近くになっている計算になります。
しかし結果論にすぎません。退社を決断した時点のApple社の将来性は、提供した資金が戻れば十分という状態だったとのことです。
年齢や他の投資により失敗が許されなかったウェイン氏は、当時は慎重にならざるを得なかったと回顧しています。
人生の分岐点を生々しく物語るこの文書が今頃になって高額で取引されているのもなんだか皮肉な話です。
