NECと中国レノボ・グループが、国内PC事業を統合した合弁会社を設立すると発表しました。
レノボと言えば、米IBMのPC事業部買収(2004年)が印象的です。
あの時の印象が強く今回のニュースは衝撃的でした。国内最大手のNECだけに、いよいよ日本もダメかな・・なんて思った人も多いのでは。
今回は買収ではなく、「国内PC事業に関するイコールパートナーとして、今後のさらなる事業的な広がりが期待できる提携」(NECの遠藤社長)ということですので一安心といったところでしょうか。
NECはやはり知名度と実績が違います。PC98シリーズの頃からの根強いファンもいますし、特に年配の方などでは、電話はNTT、パソコンはNECでなければ安心できないとまで仰る方もいます。
ところがこのNECの桁違いの強さは国内に限った話です。
世界のパソコン出荷台数ベースで見るとNECのシェアはわずか0.9%です。
他の大手(米ヒューレット・パッカード=19.7%、米デル=12.6%、台湾エイサー=12.6%)とはまるで比較になりませんし、世界基準という意味では、国内他メーカー(東芝、ソニー、富士通)に及ばないという一面もあります。
一方のレノボは、世界シェアで4位(8.2%)で、出荷台数はNECの約10倍。成長率も高いものがあります。ところがレノボは、日本市場では振るいません。
この現状を見ると、両者の思惑がはっきりしてきます。
NECの技術と国内での企画力、レノボの調達力と販売網がうまくかみ合えば、お互いに現状を打開できる可能性があります。
パソコンはますます薄利多売の様相を呈しています。2002年頃まで20万円近くを維持していたパソコン平均単価は2003年以降に急速に低価格化が進みました。2006年には15万円を割り、2012年には10万円を割ると予想されています。
NECは価格競争に耐えるための力を得るためにレノボの調達力に目をつけたのではないかと考えられます。
うまくいかなかったり、今後の判断に失敗するようなことがあれば、それこそパソコン業界におけるNECブランドの消失につながる可能性があり予断は許されませんが、歴史が評価するレベルの大きな決断を下したのだと感じました。