パーツ講座と銘打って始めたものの、電源ユニット→シリコングリスと”日の目を見ないシリーズ”にかわりつつある予感のこの連載。今日はキーボードに注目します。
ユーザーに一番近く、”日の目を見ない”とは正反対のようでありながら、本来の立場からすると軽視されているとも言えます。
東大教授が語った有名な話があります。「米国西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いでいく。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。」
ところが、人とパソコン(馬)をつなぐキーボード(鞍)は今や安価な消耗品となってしまいました。
ほとんどのユーザーはパソコンに付属のキーボードで満足していますし、パソコンを買い替えるときも、馴染んで愛着があるので以前のキーボードをそのまま使いたいと要望される方は稀です。
もちろん安く済ませることも大いに結構なのですが、パソコン以上にその人たちにとって大切なキーボードというのも存在します。
例えば、PFUの「HHKB PROFESSIONAL HG JAPAN」は525,000円という値段で話題となりました。静電容量無接点方式のキースイッチを採用し、キーボードのボディはアルミ削りだしフレーム、キートップは漆塗りという豪華なキーボードでした。漆塗りではない下位モデルも262,500円と高額であったことは、単に装飾に費用がかかっていたのではなく、最高の使い心地を追求した結果でした。
とはいえ、これは一部の人が手に入れることのできる特別な物。
次回は、創意工夫と最高の技術で生み出された傑作の中から、頑張れば手に届く価格設定のキーボードたちをご紹介します。
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